産業廃棄物は20種類に分類されており、そのなかの1つに「紙くず」があります。

そのため「事業活動に伴って排出される紙ごみ=産業廃棄物」と認識している方も多いのではないでしょうか。

しかし、紙ごみについては全てが産業廃棄物となるわけではありません。 

そこで今回は、紙ごみについて以下のことがわかる内容になっています。

  • 紙ごみは産業廃棄物と一般廃棄物どっち?
  • 紙ごみの3つの処理方法 マニフェスト・契約書は必要?
  • 面倒なマニフェスト・契約書の便利で簡単な管理・運用方法とは?

紙ごみについてよくわかる内容になっているので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

紙ごみは産業廃棄物と一般廃棄物どっちになるのか

産業廃棄物としての紙ごみは廃棄物処理法で、以下の2つに定義されています。

  1. 建設業(工作物の新築、改築または除去により生じた物)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うもの)、出版業(印刷出版を行うもの)、製本業、印刷物加工業の事業活動によって生じたもの
  2. PCB(ポリ塩化ビフェニル)が染みこんだもの

上記のことから、PCBが染みこんだ紙ごみ以外は、排出事業者の業種によって、産業廃棄物になるか一般廃棄物になるか区分されます。

紙ごみが産業廃棄物になるケースとは?

  • 建設業(工作物の新築、改築、除去に伴って生じるもの)
  • パルプ、紙または紙加工品の製造業
  • 新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うもの)
  • 出版業(印刷出版を行うもの)
  • 製本業
  • 印刷物加工業

排出事業者が上記6業種に限定して、紙ごみを産業廃棄物として処理することができます。

一方で、上記6業種以外の業種で生じた紙ごみは産業廃棄物ではなく、事業系一般廃棄物として処理をすることになります。

また、紙ごみのなかでもリサイクル可能な紙ごみについては、産業廃棄物や一般廃棄物でも専ら物として処理を行うことが出来ます。

専ら物は廃棄物のなかでも、専ら再生利用の目的となる古紙、鉄くず、空き瓶類、古繊維のことを指します。特例として、許可やマニフェストが不要とされています。

PCB(ポリ塩化ビフェニル)が染みこんだ紙ごみ

PCBとはポリ塩化ビフェニルの略称で、人工的に作られた化学物質です。

PCBは、「溶けにくい」「沸点が高い」「熱で分解しにくい」「不燃性」「電気絶縁性が高い」などの特性を持つので、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されてきました。しかし、 昭和47年以降は、食中毒や発がん性などが指摘されるようになり、製造中止となっています。

ただ、過去に製造されたPCBが染みこんだ紙ごみはまだ存在していることがあり、処理をしなければならないことがあるかもしれません。

PCBが染みこんだ紙ごみは産業廃棄物の中でも「特別管理産業廃棄物」として処理を行う必要があります。

特別管理産業廃棄物は、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有しており、産業廃棄物のなかでも通常の廃棄物よりも厳しい規制が設けられています。

PCB(ポリ塩化ビフェニル)が染みこんだ紙ごみはPCB廃棄物でも低濃度PCB廃棄物に分類されます。

低濃度PCB廃棄物は環境大臣が認定する民間の無害化認定施設や、都道府県知事などが許可する民間施設で処理をする必要があります。

また、PCB特別措置法によって令和9年3月31日までに処理を行うことが義務付けられています。

低濃度PCB廃棄物
処理期限2027年(令和9年)3月31日
対象PCB濃度が0.5%(5,000mg/kg)以下のもの
もしくは非意図的に製造工程などで混入したPCB
検査必ず分析を実施
罰則期限までに処理しなかった場合3年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または併科
処理の際に届出をしなかった場合6か月以下の懲役または50万円以下の罰金

【参照】PCBとは?なぜ処分が必要か?|環境省

【参照】ポリ塩化ビフェニル廃棄物に関する法令|環境省

紙ごみの処理方法は?マニフェスト・契約書の有無

Stack of documents placed on a business desk in a business office.

産業廃棄物、あるいは事業系一般廃棄物として排出された紙ごみは、主に3つの処理方法で処理されます。

➀リサイクル

最も一般的な紙ごみの処理方法が、リサイクルです。

汚れが無い紙ごみの多くはリサイクルが可能となっております。

実際に、公益財団法人 古紙再生促進センターの資料によると、2022年実績約17,886千トンの古紙が回収され、そのうち約1,833千トンは輸出されています。よって約16,000千トンが国内でリサイクルされているということになります。 つまり、回収された紙ごみの多くがが製紙原料になり、新しい紙として生まれ変わります。

また、リサイクルを目的として回収される紙ごみは「専ら物」としての扱いになり、処理業の許可やマニフェストが不要となります。

【参照】公益財団法人 古紙再生促進センター 統計資料

②焼却

紙ごみのなかでも、リサイクルできない紙ごみがあります。

例としては

カーボン紙(複写伝票)

感熱紙(レシート)

圧着ハガキ

写真

複合材(通販用緩衝封筒など)

ニオイや汚れが付着した紙

ティッシュペーパーやトイレットペーパー

上記の紙ごみが通常のリサイクル可能な紙と混じってしまうと、製品化した際に品質に支障をきたします。

そのためこれらのリサイクルできない紙ごみは、一般廃棄物として市の焼却炉で燃やしたり、産業廃棄物として焼却処理したりされます。

産業廃棄物して処理する場合は、契約書の締結やマニフェストが必要になるので注意しましょう。

埋め立て処理

紙ごみをリサイクルせずに処理する方法として、焼却処理の他に埋め立て処理という方法もあります。

紙ごみを埋め立て処理するときも、焼却処理同様にマニフェストの交付や契約書の締結が必須です。

紙ごみの埋め立て処理は、「遮断型」「安定型」「管理型」のいずれかの最終処分場に持ち込まれて処理されます。

産業廃棄物の最終処分場が抱える課題や種類については、以下の記事で詳しく解説しています。

産業廃棄物の最終処分場の種類は?約20年後には埋め立てできなくなる?問題と課題そして解決策は…?産業廃棄物の最終処分が抱える問題とは

産業廃棄物の紙ごみ処理はマニフェストが必須!管理・運用は電子マニフェストシステムがおすすめ

紙ごみはリサイクルされることが一般的な処理方法ですが、リサイクルできない紙ごみは焼却処理、もしくは埋め立て処理を行います。

リサイクルなど再資源化を目的に排出する場合は専ら物として扱うので、マニフェストの交付は不要になりますが、契約書の締結が必要です。

また、産業廃棄物として焼却処理・埋め立て処理で紙ごみを処理する場合は、マニフェストの交付と契約書の締結が必須になります。

このマニフェストと契約書の管理・運用は、廃棄物管理業務の大きな課題になっており、多くの事業者が「めんどくさいな…」と感じているのではないでしょうか。 そこでここからは、マニフェスト・契約書の管理・運用がめんどうな方におすすめの「電子マニフェストシステム」について紹介していきます。

電子マニフェストシステムを利用するメリット

紙のマニフェストの場合、交付・返送から5年間保管しなければならず、保管場所や紛失のリスクを抱えてしまいます。

さらに1年ごとに産業廃棄物管理票等状況報告が義務づけられています。

このような事務作業の労力が問題となっている廃棄物管理業務の救世主として普及しているのが、電子マニフェストトシステムです。

電子マニフェストシステムは、1998年に導入されたマニフェスト業務の電子化システムで、公益財団法人 日本産業廃棄物振興センター(以下JWセンター)によって、管理・運営されています。

電子マニフェストシステムを利用することで、

  • 記載ミスの防止
  • 処理状況をリアルタイムで確認可能
  • 廃棄物の排出・処理委託情報を把握しやすい
  • マニフェストの保存が不要
  • 産業廃棄物管理票交付等状況報告が不要
  • データ書き換えなど不正が発生しにくい

上記のようなメリットがあります。

「マニフェストの管理・運用がストレス」「もっと簡単にできればいいのに」と感じている方こそ、電子マニフェストシステムを利用してみてはいかがでしょうか。

下記記事も参考にしてみてください

産業廃棄物マニフェストとは?内容や保管期間・返送期限は?電子マニフェストのメリットまでわかりやすく解説

廃棄物総合管理システム”Wing”の場合

弊社の”Wing”は、廃棄物管理業務支援のための総合システムです。

特別な機器やシステムを導入する必要なく、以下のような煩わしい管理業務をサポートいたします。

  • 許可証の期限管理
  • 多数拠点の委託業者の把握
  • 新たな委託業者の選定基準の明確化
  • 拠点別の廃棄状況・処理コストの比較
  • 有価物への転換時の市況把握
  • 多様なローカルルールへの対応
  • 行政報告書作成をアウトソーシング など

御社全体の廃棄物情報をICT化することで、情報集約による一元管理が可能になり、より効率的な廃棄物管理業務が実現します。

“Wing”はこれまで業種や業界を問わずに約1,500社の企業にご活用いただいており、簡単なシステム操作なので大変ご好評いただいております。

“Wing”でさらなる業務効率化と、環境コンプライアンス向上を実現してみませんか?

“Wing”のご質問・お問い合わせは、お電話・メールにて承っております。

まとめ

紙ごみはリサイクルを目的に排出するのが一般的ですが、リサイクル不可とされている紙ごみは、産業廃棄物や一般廃棄物として処理するケースがあります。

また、紙ごみは業種によっては、事業系一般廃棄物で処理する場合と、産業廃棄物として処理する場合に分かれます。

紙ごみをリサイクルする場合は専ら物として扱うので、マニフェストの交付は不要ですが契約書の締結が必要です。産業廃棄物としての処理はマニフェストの交付と契約書の締結が必須になるので、「書類の管理・運用がめんどうだな…」と感じる方は電子マニフェストシステムの導入を検討してみましょう。